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キーワードでわかる臨床栄養

第9章静脈栄養法

9-1:中心静脈カテーテル(CVC)[central venous catheter]

中心静脈カテーテル(CVC)[central venous catheter]
 カテーテルの先端を中心静脈内に留置するカテーテルを意味する.中心静脈とは,解剖学的に上大静脈と下大静脈を指し(図1),高浸透圧の輸液を直ちに希釈して血管壁に静脈炎などを起こさないようにするために,この中心静脈内にカテーテル先端を位置させる必要があるのである(図2).CVC挿入時の合併症として先端位置異常があり,これは比較的高頻度に起こる.また,管理中に自然にCVCが抜浅して鎖骨下静脈内に移動したりすることもある.この場合,extravasation of fluidsという合併症が発生する可能性があるので,定期的にCVC先端位置は胸部X線写真でチェックしておく必要がある.
図1●中心静脈とは

図1●中心静脈とは
ほとんどの解剖学の教科書では,中心静脈という用語は記載されていない.それは,この中心静脈という用語が解剖用語ではないからである.しかし,輸液の領域では中心静脈は上大静脈および下大静脈をさす.高浸透圧の栄養輸液が,血管内に投与された場合,急速に希釈されることによって血管壁を刺激しないようにするため,これらの中心静脈内にカテーテル先端を留置する必要があるのである.

図2

図2●中心静脈栄養
中心静脈内にカテーテルを挿入し(鎖骨下穿刺で挿入したカテーテルを示す),高浸透圧,高濃度の栄養輸液を投与する.浸透圧比7以上の輸液も投与することができるので,必要とするエネルギー量を投与することができる

 現在使用可能なTPNのキット製品の浸透圧比(生理食塩液に対する比)は4~7となっている(表1).ハイカリック®RF,ハイカリック®NC-Hでは浸透圧比が8以上で高いが,実際には単独で投与することはなく,アミノ酸液と混合して投与するので,通常は浸透圧比7以下で投与されることとなる. 表1●主な TPN輸液の浸透圧比

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