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キーワードでわかる臨床栄養

第8章経腸栄養法

8-4:液体栄養剤症候群[liquid formula syndrome]

液体栄養剤症候群[liquid formula syndrome]
 胃瘻からの経腸栄養において患者に起こるさまざまな合併症や精神的・肉体的な苦痛が液体栄養剤の注入に起因するものを液体栄養剤症候群(liquid formula syndrome)と呼ぶことを合田(2011年)が提唱した(表4)(参考文献8-4-4).すなわち,胃にとって生理的な栄養材である半固形化栄養材では合併せず,非生理的な液体栄養剤の注入により生ずる医原性の症候群である.これらの症状は,胃瘻からの半固形化法により改善する.
表4
 経腸栄養に用いられる栄養材は液体栄養剤という固定概念があるが,液体栄養剤の最大の問題点は粘性がなく,流動性が高いことにある.その結果,粘性摩擦が生じず胃内での貯留・排出運動が生理的に行われないことにより,さまざまな症状を呈するものを一次性液体栄養剤症候群(primary liquid formula syndrome)と呼ぶ.
 液体栄養剤が急速に胃瘻から注入されると合併症が起こりやすいという経験的な言い伝え(胃内残留量が多いと合併症が増えるというのは迷信であり,500 mL程度までの胃内残留量ではむしろ合併症は減少する)から,その対策として,できるだけ緩徐に30度の座位で液体経腸栄養剤を注入することが推奨されてきた.こういった液体栄養剤注入法に伴う身体的,精神的合併症を続発性液体栄養剤症候群(secondary liquid formula syndrome)と呼ぶ.したがって液体栄養剤症候群は両者を含む概念である.

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