第7章経口栄養療法
7-6:介護食
■はじめに
介護食とは加齢や疾患によって摂食・嚥下機能が低下した方(主に高齢者)に提供される食事の総称であると理解される.よって,介護食と言っても摂食・嚥下機能低下の程度は人それぞれであり,その程度に応じて介護食の種類もさまざまである.
■介護食の統一指標
今まで,医療・介護関連施設で調理され提供される介護食は,施設によって名称や調理方法,さらには提供時の判断基準が異なるなど,統一性に欠けていた.そこで利用者の摂食・嚥下機能の程度に応じて安全に食事をしてもらうため,いくつかの目安となる介護食の指標が提案されてきた.その先駆けとなった指標が,金谷節子氏によって2004年に発表された嚥下食ピラミッド(参考文献7-6-1)であり,普通食から嚥下食,さらに嚥下訓練食までを6段階に分類し,食物形態の物性条件を基準化した.その後,日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が作成した嚥下調整食分類2013(参考文献7-6-2)は,現在本邦の統一指標として定着しつつあり,その詳細は7-4:嚥下調整食の形態(https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch7-4/)に記載の通りである.
■その他の指標
一方,医療・介護施設では,経口用の食事を個々のケースを見ながら調整・調理することは非常に手間がかかり現場の負担も大きいため,2000年頃から安定した品質や,栄養面,衛生面で安心できる介護用加工食品が徐々に利用されはじめた.その時つくられたのが市販介護食品の自主規格である「ユニバーサルデザインフード(UDF)」である.現在では,医療介護現場のみならず広く一般的に普及しつつある.
また,消費者庁が管轄する特別用途食品制度のなかにも,「えん下困難者用食品」という食品群があり,飲み込みやすさの程度によって許可基準Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの3区分に分類されている.えん下困難者用食品は,えん下困難者に適する旨の表示ができる唯一の食品であり,表示許可を得るためには介護食品の指標のなかでもより厳しい規格をクリアしなければならない.
さらに農林水産省でも,介護食品の市場拡大を通じて食品産業の活性化と健康寿命の延伸に資するため,介護食品の範囲を再整理し,「スマイルケア食」という新しい枠組みを整備した.平成27年12月にスマイルケア食の考え方と運用ルールがとりまとめられるとともに,すでに発表されてきた嚥下調整食分類2013,UDFなどとの相互対応についても整理している(表Ⅰ).
また,スマイルケア食では噛むことや飲み込むことに問題のない高齢者に対しても,低栄養予防の観点から新たな分類(青マーク)がつくられている.
■調理上の工夫
現在多くの病院介護施設では,嚥下調整食分類2013を指標として介護食を調理提供している.介護食の調理には食材の選択や切り方の工夫はもちろんだが,物性をやわらかくするためには真空調理器具なども効果的である.
また,液状食品にとろみを付与したり,ゼリー状に固めたりするには,多くの嚥下食用増粘剤(とろみ調整食品・固形化補助食品)が販売されているので活用されたい.
また,消費者庁が管轄する特別用途食品制度のなかにも,「えん下困難者用食品」という食品群があり,飲み込みやすさの程度によって許可基準Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの3区分に分類されている.えん下困難者用食品は,えん下困難者に適する旨の表示ができる唯一の食品であり,表示許可を得るためには介護食品の指標のなかでもより厳しい規格をクリアしなければならない.
さらに農林水産省でも,介護食品の市場拡大を通じて食品産業の活性化と健康寿命の延伸に資するため,介護食品の範囲を再整理し,「スマイルケア食」という新しい枠組みを整備した.平成27年12月にスマイルケア食の考え方と運用ルールがとりまとめられるとともに,すでに発表されてきた嚥下調整食分類2013,UDFなどとの相互対応についても整理している(表Ⅰ).
また,スマイルケア食では噛むことや飲み込むことに問題のない高齢者に対しても,低栄養予防の観点から新たな分類(青マーク)がつくられている.
また,液状食品にとろみを付与したり,ゼリー状に固めたりするには,多くの嚥下食用増粘剤(とろみ調整食品・固形化補助食品)が販売されているので活用されたい.