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キーワードでわかる臨床栄養

第7章経口栄養療法

7-5:特別用途食品[food for special dietary uses]

■特別用途食品[food for special dietary uses]
 特別用途食品とは,病者,えん下困難者などの健康の保持・回復や乳児の発育などに適するという特別の用途について表示できる食品であり,消費者庁の許可マークが付いている.表1に示すように,特別用途食品にはいくつもの食品群があり,その一つひとつに許可基準や規格または要件が定められている.特別用途食品として食品を販売するには,その食品が許可基準などを満たしているかどうかを消費者庁が審査したうえで,消費者庁長官の許可を受けなければならない(参考文献7-5-3).許可を得た食品には許可マークとともに,低タンパク質食品であれば,「本品はタンパク質の摂取制限を必要とする腎疾患等に適した食品です.」,えん下困難者用食品であれば,「本品は,えん下困難者に適したゼリー食品です.」などの表示がされている.
表1

(文献7-5-4,7-5-5をもとに作成)

 現在の許可取得件数とその主な食品を表1に示したが,許可件数は65件(令和元年10月18日現在)と非常に少ないのが課題である.このように特別用途食品の許可件数が少ない理由として,利用者側の認知度が低く購入環境も不十分であるため,事業者にとっては多額の費用と時間を費やして許可を取得するメリットを感じていないことなどがあげられる.
そのため,特別用途食品制度を管轄する消費者庁も,特別用途食品の普及啓発や制度の見直しに積極的に取り組みはじめた.その結果,平成30年4月の通知改正では「とろみ調整用食品」,平成30年8月には「乳児用調製液状乳(いわゆる液体ミルク)」が特別用途食品として追加されたが,とろみ調整用食品においてはいまだ表示許可を得た食品はない.

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