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キーワードでわかる臨床栄養

第7章経口栄養療法

7-4:嚥下調整食の形態

■概論
 嚥下障害のリハビリテーションおよびマネージメントは,摂食嚥下機能の改善や維持,低栄養・脱水・誤嚥性肺炎の予防を目的としている.
薬・手術・口腔内装具などの治療と,食物を用いない間接訓練,食物を用いる直接訓練,全身状態と呼吸機能の管理を複合的に行う.特に,適切な嚥下調整食を適切なテクニックで安全に食べる直接訓練は,食べるという動作を直接練習できるため意欲も湧き,かつ経口的な栄養の摂取ともなる.
 2000年代には日本の各地の病院・施設で,特別食加算などは算定できないにもかかわらず,必要に応じて,嚥下障害に配慮した食事がつくられてきた.そこで,日本摂食嚥下リハビリテーション学会で検討委員会がつくられ,2回のパブリックコメントを経て「嚥下調整食学会分類2013」(学会分類2013)が発表された.
 それ以降,介護保険や,診療報酬の用語に学会分類2013が浸透しつつある.
 市販品の表示基準としては,学会分類2013の発表時点で,消費者庁のえん下困難者用食品(申請して許可を得ないと表示できない),日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード(以下UDF,企業団体による自主基準)があったが,独自の表現をして発売している企業も多かった.しかし2013年から,農林水産省が介護食品市場の拡大への取り組みを開始し,愛称「スマイルケア食」を提案し,特別用途食品のえん下困難者用食品も含め,かつ,学会分類2013とUDFにも配慮した分類を提唱している(本章-6,p.192参照).
 一方,発達期の障害である脳性麻痺などの症例の嚥下障害は,脳卒中や高齢者など中途障害を対象とした学会分類2013と少し違う配慮の形態調整が必要である.また,すでに離乳食分類というものがあること,医療・介護施設と在宅だけでなく,学校教育の場での利用(特殊学級の給食)にも配慮しなければならないという特色がある.そこで,日本摂食嚥下リハビリテーション学会が発案し,日本重症心身障害学会,日本小児歯科学会,日本小児神経学会,日本障害者歯科学会,日本小児科学会が協力して,「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類2018」が発表された.

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