第5章栄養状態の評価
5-3:レチノール結合タンパク(RBP)[retinol-binding protein
■レチノール結合タンパク(RBP)[retinol-binding protein]
基準値 2.7~7.6 mg/dL,半減期 12~16時間
血中レチノール(ビタミンA)の輸送タンパクであり,肝臓で生成される.腸管より吸収されたレチノールは肝臓に貯蔵され,RBPと結合し血中に分泌される.そのため,血中ビタミンA濃度は肝のRBP生成能と密接な関連を有する.組織にビタミンAを供給した後は腎臓で代謝される.これらのことから,肝機能が低下するとRBPも低値を示し,腎機能が低下すると上昇する.RBPは血中の半減期が短く,トランスサイレチン(TTR),トランスフェリン(Tf)と合わせて“rapid turnover protein”とされる.アルブミンが比較的長期間にわたる静的な栄養状態を表すのに対し,これらのタンパクは短時間の動的な栄養状態をリアルタイムで示すものである.したがって術前後の栄養管理においてはこれらの指標を重視している(表2).
