第5章栄養状態の評価
5-3:臨床検査
■概論
臨床検査は日常の診療において欠かすことのできないものである.病気の有無にはじまり,疾患があった場合には,その症状を正しく診断・評価するのに役立つだけでなく,正常な健康状態およびさまざまな病気を詳細に解析し,患者1人1人の全身状態を把握するためにも重要である.栄養面に限ったことではなく,医師のみならず看護師,薬剤師,栄養士,検査技師などの「医療人」は臨床検査値を熟考する必要がある.もちろん検査値の数字がすべてではないが,検査値をふまえて総合的に検討し,臨床へ評価をフィードバックすることが必要とされている.臨床検査には各診療科の患者の血液を用いての血液一般検査,生化学検査,尿や便の検査などの生体試料を用いる検査のほか,心電図,脳波,肺活量検査なども含まれる.病院内の一般の診療科が目に見える樹木だとすると,検査はその「根」の部分にあたる存在であり,陰ながら臨床の現場への貢献をめざすものだと考えられる.
このように病態の把握や診断に欠かせない臨床検査だが,以下のキーワードでは「栄養」という観点からみた際に,特に臨床で重要となる項目について解説する.なお,疾患ごとの検査項目の例を表Ⅰに示した.
(文献5-3-1より引用)