第4章栄養と免疫,および生体防御機構
4-2:粘膜固有層リンパ球(LPLs)[lamina propria lymphocytes]
■粘膜固有層リンパ球(LPLs)[lamina propria lymphocytes]
腸管の粘膜固有層には,炎症性病変が存在していないときでも,多数の形質細胞と活性型CD4+T細胞,CD8+T細胞が存在し,粘膜免疫の機能を発現する.
粘膜固有層には生体全体の80%の形質細胞が存在する.粘膜固有層の形質細胞はIgA産生形質細胞として二量体IgAを産生する.このIgAが腸管内に分泌されるには,まず上皮細胞の粘膜下組織側の膜表面にあるポリIgレセプターにIgAが結合する(図3).このようにIgAはレセプターに結合したまま粘膜上皮細胞内の輸送小胞に取り込まれる.小胞は腸管腔側の細胞膜へと移動し,細胞外輸送の機序によって分泌型IgAを粘液中に分泌する.
図3●分泌型IgA
形質細胞より産生された二量体IgA が細胞膜表面にあるポリIgレセプターと結合し上皮細胞の輸送小胞に取り込まれた後,細胞外輸送の機序によって分泌型IgAを粘液中に分泌する.