第4章栄養と免疫,および生体防御機構
4-2:腸管関連リンパ組織(GALT)[gut-associated lymphoid tissue]
■腸管関連リンパ組織(GALT)[gut-associated lymphoid tissue]
消化管には微生物の侵入に対する防御機構として,腸管関連リンパ組織(GALT)が存在する(図1).GALTは消化管に特有なリンパ組織であり,パイエル板や腸間膜リンパ節群,IELs,LPLsを含む.パイエル板は濾胞と傍濾胞域に区別され,抗原刺激を受けたパイエル板の濾胞には胚中心が認められる.パイエル板の腸管腔側を覆う上皮層にはM細胞が存在し,腸管内の抗原を取り込み,マクロファージやリンパ球と接する.それにより抗原提示されたB細胞が活性化する.また活性化したIgA前駆B細胞やT細胞は,粘膜免疫循環帰巣経路(CMIS)を経由して腸管粘膜の実行組織に到達する.その結果,絨毛の粘膜固有層には活発にIgAを産生する形質細胞や活性化T細胞が存在することになる.
また,パイエル板以外の経路で腸管粘膜に入った抗原は,リンパ管を通って腸間膜リンパ節に流入し免疫が誘導される.
図1●腸管関連リンパ組織における免疫細胞の分布
腸管関連リンパ組織(GALT)では,抗原刺激を受けたパイエル板に,B 細胞とマクロファージ,樹状細胞などの抗原提示細胞やT細胞が分布する.活性化したB 細胞やT 細胞は粘膜免疫循環帰巣経路(CMIS)を経由して腸管粘膜の実行組織に到達する.その結果,絨毛の粘膜固有層にはIgA 産生形質細胞や活性化T 細胞が存在することになる.