第4章栄養と免疫,および生体防御機構
4-1:NK細胞[natural killer cell]
■NK細胞[natural killer cell]
NK細胞はウイルス感染細胞やがん細胞を傷害する自然免疫リンパ球である.NK細胞は糖鎖を見分ける活性化受容体と,MHCクラスⅠ分子と結合してNK細胞自身の活性を制御する受容体をもつ(図1).正常細胞はMHCクラスⅠ分子を強く発現するため,NK細胞がこれらの細胞に結合した場合は抑制性受容体のシグナルが優位となり,傷害作用を示さない.一方,ウイルス感染細胞やがん細胞はMHCクラスⅠ分子発現の低下や変異を伴うことがあるため,NK細胞がこれらの標的細胞を認識すると活性化受容体が抑制性受容体よりも優位になり傷害作用を示す.加えて,この作用は自然免疫に続いて異物侵入の早期に出現する早期誘導免疫も担う.
図1●NK 細胞による標的細胞の認識
ウイルス感染細胞やがん細胞にはMHC クラスⅠ
分子が正常に表出されなくなる.その結果,NK細胞の抑制性受容体への刺激がなくなり,活性化受容体のみが刺激されるため,細胞が破壊される.