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キーワードでわかる臨床栄養

第3章侵襲に対する生体反応

3-2:コルチゾール[cortisol]

コルチゾール[cortisol]
 コルチゾールは,代表的なストレスホルモンであり,侵襲時の視床下部─下垂体─副腎系の変動によって産生が増加する.通常みられる副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)の日内変動は侵襲時には消失し,侵襲の程度に応じてACTHの分泌が高まり,その結果,副腎からのコルチゾールの産生が増加する.ACTHとコルチゾールの産生は,前述の炎症性サイトカインTNF-αとIL-1によっても増強される.コルチゾールは,グルカゴンやアドレナリンの作用を高め,肝臓における糖新生を促進する一方,筋や脂肪組織におけるインスリン抵抗性を助長するため高血糖となる.さらにコルチゾールは,骨格筋の筋タンパク崩壊を進め遊離脂肪酸の放出を増加させる.コルチゾールには,血管内皮細胞の活性化・血管透過性亢進・補体活性化・顆粒球活性化と接着および凝集・エイコサノイドの代謝産物増加・活性酸素産生増加といった炎症反応でみられる諸変化を軽減する作用があり,TNF-αやIL-1の産生抑制作用がある.

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