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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-7:パントテン酸[pantothenic acid]

パントテン酸[pantothenic acid]
 血清パントテン酸基準値:健常成人1.5~3.5 nmol/mL
 パントテン酸は,β-アラニンと酪酸のジメチルエステルとしての化学構造を有している.
 食品中には,主に補酵素A(CoA-SH)の構成成分や4′-ホスホパンテインとして存在している.これらは,小腸での消化によりパントテン酸またはパンテインまで分解され,低濃度では能動輸送,高濃度では受動輸送によって吸収される.
 血漿中では遊離のパントテン酸,パンテインとして存在し,末梢組織ではパントテン酸が,肝臓ではパントテン酸とパンテインが取り込まれ,パンテインはパントテン酸に転換される.いずれの細胞でもパントテン酸からCoA-SHが生成され,アセチル化酵素の補酵素として,糖,脂質,アミノ酸代謝に関与している.
 パントテン酸は,食品中に広く存在しているため,特異的な欠乏症状は,ほとんど報告されていない.これは,パントテン酸欠乏が他の栄養素の欠乏と同時に発生しているからである.しかし,栄養不良の著しい場合に,足のしびれ,感覚異常が発生し,パントテン酸の供給により改善したとの報告もみられる.また,通常の食事を摂取している人では過剰摂取による健康障害はみられていない.

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