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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-7:ナイアシン[niacin, nicotinamide]

ナイアシン[niacin, nicotinamide]
 ヘパリン加血液ナイアシン基準値:4.7~7.9μg/mL
 ナイアシンは,ニコチン酸(NA),ニコチンアミド(Nam)の総称である.食品中には,動物性食品にニコチンアミド,植物性食品にニコチン酸として存在している.また,ナイアシンの前駆体であるトリプトファンは,ナイアシンとしての活性が重量比で1/60であることから,次式で1日の摂取量が算定できる.
 ナイアシン当量(mgNE)=
 ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)
 胃ではNAが,小腸ではNAとNamがNa依存性の促進拡散によって吸収され,血漿中では両者とも遊離型で存在している.ほとんどの末梢組織では,受動拡散によって取り込まれるが,赤血球,腎臓,脳などでは,NAの輸送体が存在している.肝臓では,NAおよびNamからニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が生成され,肝臓以外の組織ではNamのみからNADが生成される.また,NADは,リン酸化によりNADPとなり,これらは,多くの酸化還元酵素の補酵素の構成要素としての役割を果たし,また,核内の転写の活性化・抑制化にも関与している.
 ナイアシン欠乏症としてはペラグラがあげられる.通常の食事を摂取している場合には健康障害をきたすことがないが,サプリメントやナイアシン強化食品の過剰摂取は,消化器系障害や肝機能低下,劇症肝炎を起こすことが報告されている.

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