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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-7:ビタミンA[vitamin A, retinol]

ビタミンA[vitamin A, retinol]
 血清レチノール基準値: 431~1,041 ng/mL
 ビタミンAは,レチノイドとよばれ,レチノール,レチナール,レチノイン酸の3種類の化合物がある.動物性食品からの摂取形態は,主にレチノール,レチノールエステルであり,植物性食品には主なプロビタミンAカロテノイドとして,β-カロテン,α-カロテン,β-クリプトキサンチンが存在している.
 レチノールは小腸内でミセル化され,吸収された後に小腸粘膜上皮細胞でレチノール結合タンパクと結合し,その後エステル化され,カイロミクロンに取り込まれリンパ管に放出され,循環血を経てカイロミクロンレムナントとなって肝臓に運搬される.カロテノイドは,ミセル化され,小腸粘膜上皮細胞内でレチノールとなり,前述した同様の経路で肝臓へ運搬される.
 肝臓では,最終的にレチノール・レチノール結合タンパクと結合し,血漿中に放出された後にトランスサイレチンと結合した形で輸送される.
 ビタミンAは,レチノールとレチナールによって異なるが,視覚機能,細胞分化,胚形成,免疫反応,細胞間情報伝達などに関与している.
 欠乏症としては,夜盲症,眼球乾燥症,腸管免疫系の機能低下,成長阻害などがあげられる.過剰症には,急性毒性として,嘔気,嘔吐,視力障害,筋肉協調運動障害などがあり,慢性毒性として,皮膚の乾燥,肝肥大などがあげられる.胎児では,催奇性の問題が生じる.

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