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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-6:クロム(Cr)[chromium]

クロム(Cr)[chromium]
 血清クロム基準値:0.013~0.016μg/dL
 食品から摂取されるクロム(Cr)は主として3価クロム(Cr3+)であり,その吸収率は,0.4~2.5%と推定され,摂取されたCr3+のほとんどが糞便中に排泄される.一方,吸収されたCr3+の大半は尿中に排泄される.血漿中では,ほとんどがトランスフェリンと結合し,各組織に運搬される.ヒト組織では,肝臓,脾臓,骨において分布濃度が高い.
 クロムの栄養素としての必須性は,長期間の静脈栄養によってインスリン抵抗性の高血糖,血清脂質の異常,体重減少などが生じた成人において,塩化クロム(CrCl3)の投与により改善がみられたことから受け入れられている.一方,2型糖尿病やさまざまな耐糖能異常の患者に対するクロム投与の効果については,多量のクロムを必要とすることと,健常者においてはクロム投与により糖代謝やインスリン作用に影響しないことから,クロムの作用は薬理学的効果のものとも考えられている.
 過剰症は,通常の食事では起こらない.また,サプリメントによる過剰摂取の毒性についても明らかになっていないのが現状である.

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