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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-6:セレン(Se)[selenium]

セレン(Se)[selenium]
 血清セレン基準値:ヘパリン加血液15.5~27.0μg/mL
 世界的な調査結果により食品のセレン(Se)摂取量と血漿/血清のセレン値との間には強い正の相関系があることが報告されている.例えば,ドイツ,スウェーデン,ニュージーランドなどでは,食事中のセレン含有量が低く,血漿/血清セレン値も低いが,日本や韓国では摂取量,血漿レベルでも高値を示している.食品中には,大部分はセレンメチオニン,セレンシステイン,一部が無機セレン(セレン酸,亜セレン酸)として存在している.吸収部位はいずれも小腸であり,その効率は,セレンメチオニンと亜セレン酸が80~90%,セレンシステインが50~70%である.通常の摂取レベルでは,トリメチルセレニニウムやセレン糖として尿から排泄されるのが一般的である.過剰摂取時は糞便中および呼気へジメチルセレニドとして排泄される.
 セレンは,ヒトの体内では25種類のセレン含有タンパク質として存在し,抗酸化酵素(例:グルタチオンペルオキシダーゼ:GPx),酸化還元シグナル伝達,甲状腺ホルモンの調整(ヨードチロニン脱ヨウ素酵素:DIO)などの機能を有している.
 セレンが欠乏すると,成長阻害,筋肉萎縮,肝臓障害,不妊症,免疫力低下などがみられる.過剰摂取は,神経障害,麻痺,疥癬性皮膚炎,爪の萎縮,毛髪の脱落などを起こす.
 セレンの栄養状態のバイオマーカーには,血漿セレン濃度があるが,組織中のセレン濃度とは必ずしも一致しない場合もある.一方,赤血球のGPHpx活性は,低摂取状態にある集団や個人に有用とされている.

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