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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-5:カリウム(K)[potassium]

カリウム(K)[potassium]
 血清基準値:3.3~4.8 mEq/L
 カリウム(K)は,主要な細胞内陽イオンであり,細胞内酵素の活性化,神経の興奮・伝導,筋肉の収縮への関与,体液浸透圧の維持,酸塩基平衡の維持などの機能を果たしている.生体内には体重1 kgあたり50 mmol/LのKが含まれ,89.6%が細胞内液(約150 mEq/L),2.4%が細胞外液(3.3~4.8 mEq/L),8%が骨・軟骨に含まれている.通常,摂取されたKは,90%が消化管から吸収され,約10%が糞便中,ごく少量が汗に排泄される.吸収された後,血漿中に増加したKは,アドレナリン,アルドステロン,インスリンなどの作用により筋細胞,赤血球など細胞内へ取り込まれる.Kの排泄は,腎の近位尿細管,遠位尿細管を経て,集合管に達したKがアルドステロンの調節により,吸収されたほぼ同量が尿中へ排泄されることで,血漿K濃度がきわめて狭い範囲に保持されるようになっている.
「日本人の食事摂取基準(2020)」は,成人の目安量を1日の糞便中,尿,皮膚からの不可避損失量や国民健康・栄養調査結果における成人の中央値をもとに男性では2,500 mg/日,女性2,000 mg/日としている.また,高血圧予防の観点から,成人の目標量として男性3,000 mg以上/日,女性2,600 mg以上/日が設定されている.

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