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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-5:ナトリウム(Na)[sodium]

ナトリウム(Na)[sodium]
 血清基準値:135~147 mEq/L
 ナトリウム(Na)は,細胞外液の浸透圧の調節,酸塩基平衡の維持,神経,筋の興奮性を正常に保つことや,グルコースやアミノ酸の能動輸送にも関与している.
 健常な成人の体内Na量は,体重1 kgあたり60 mmol/Lであり,約50%が細胞外液(135~147 mEq/L),10%が細胞内液(8 mEq/L),40%程度が骨や組織に分布している.正常状態では,Naは,主として食塩として経口的に摂取され,すべて小腸で吸収され,体内に分布していく.Naは,糞便中や汗にもわずかに排泄されるが,1日の食事中の含有量とほぼ同量が主としてアルドステロンと心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の2つのホルモンの調節によって尿中に排泄されるため,平衡状態が維持されている.これに加えて,血清Na値は,抗利尿ホルモンによる水分調節が関与することで一定の幅に保持されることになる.
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における成人・小児のNaの推定平均必要量は,座位で発汗を伴わない仕事に従事している場合のNa摂取量を0にした場合の糞便,尿,皮膚からの不可避損失量を500 mg以下/日とし,これに個人間変動を考慮して,600 mg/日(食塩相当量1.5 g)としている.また,0~5カ月児では母乳中Na摂取量から100 mg/日,6~11カ月児では母乳中や離乳食のNa摂取量から目安量を600 mg/日としている.一方,高血圧,がん,脳卒中などの生活習慣病予防の観点から,男性では食塩相当量7.5 g/日未満,女性では6.5 g/日未満が目標量として設定されている.

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