第2章栄養素とその代謝
2-4:ケトン体[ketone body]
■ ケトン体[ketone body]
脂肪酸のβ酸化が活発に起こり,アセチルCoAが過剰に生成すると,肝臓ではアセチルCoAを材料としてアセト酢酸や3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)およびアセトンがつくられる(図8).これらはケトン体とよばれる.アセチルCoAを水溶性であるケトン体に変換することにより,肝臓で余剰となったアセチルCoAの血液を介した輸送が可能となる.
脂質摂取に対して糖質摂取が少ない,飢餓で糖質の摂取が不足,また糖尿病で組織の糖質利用が低下している場合などは,脂肪組織から遊離脂肪酸が遊離してβ酸化が亢進し,大量に生成したアセチルCoAからケトン体が産生されやすくなる.ケトン体が増えすぎると,血液が酸性に傾くアシドーシスを起こす.糖尿病の場合は,代謝性アシドーシスと脱水が起こり,糖尿病性昏睡の原因となる.
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