第2章栄養素とその代謝
2-4:エイコサノイド[eicosanoid]
■エイコサノイド[eicosanoid]
エイコサノイドとは,プロスタグランジン(PG),プロスタサイクリン(PGI),トロンボキサン(TX),ロイコトリエン(LT)などの生理活性物質のことである.細胞膜のリン脂質に存在する炭素数20のアラキドン酸(n-6系)が,ホスホリパーゼA2によって遊離し,代謝されることで生成する(図3).
PGIは血管壁で合成され,血小板凝集抑制作用をもつ.TXは,血小板でつくられ,血管収縮と血小板凝集を引き起こす.LTは白血球でつくられ,炎症作用に働く.
一方,n-3系のEPAからも,同様の代謝経路でそれぞれエイコサノイドが産生されるが,EPAから産生されるTXの血小板凝集活性はアラキドン酸由来のものより弱く,消炎作用をもち体内の恒常性維持に働く.このことから,食事中のn-3系脂肪酸は,血栓予防,炎症やアレルギー症状の緩和に効果があるとされている.
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