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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-1:受動輸送と能動輸送[passive transport and active transport]

■受動輸送と能動輸送[passive transport and active transport]
 受動輸送は,エネルギーを必要としない栄養素の吸収方法である.受動輸送には,単純拡散と促進拡散のタイプがある(表1).
 単純拡散は,細胞内外の濃度勾配に従って栄養素が吸収される最も一般的な方法で,遊離脂肪酸,ミネラル,水溶性ビタミンなどがこの方法で吸収される.栄養素の吸収が進行し,細胞内外の濃度が等しくなったところで,それ以上の吸収はできなくなってしまう.
 促進拡散は,細胞内外の栄養素の濃度差によって吸収される点は単純拡散と同様であるが,吸収に担体(タンパク質の運び屋)が必要で,栄養素は担体を介してよりすみやかに細胞膜を通過し細胞内に取り込まれる.エネルギーを必要としない吸収機構であるが,担体の数には限りがあるため,輸送する栄養素の濃度が高くなると担体は足りなくなり,吸収速度は一定となってしまう.促進拡散による吸収には,単糖のフルクトースなどがある.
 エネルギーを使いながら,濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって,積極的な栄養素の吸収を行うのが能動輸送である(表1).糖質やアミノ酸の多くはこの方法で輸送される.能動輸送で栄養素が吸収される場合には,担体が必要である.
表1

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