第12章在宅栄養管理
12-2:食支援(“食楽支援”)[syokurakushien]
■食支援(“食楽支援”)[syokurakushien]
総合在宅医療クリニックでは,患者に最期まで食を「楽」しんでもらうことができ,介護者である家族には食を「楽」に支えてもらえるようにという思いで,食支援を「食楽支援」と命名し活動している(参考文献12-2-7).管理栄養士は,病院・施設から在宅まで継ぎ目のないシームレスな栄養ケアを行い,さらには在宅だからこそできる食の提案を行う(図1).そうすることで,患者は好きなものを好きな時間に,住み慣れた自宅で自分のペースで,あるいは家族と一緒に食事を楽しむことができる.さらに,図2のように食品を加工することで,胃瘻であっても家族と同じ食事を楽しむことができるようにする.これらは,病院や施設では実現が難しく,在宅だからこそできる食の提案である.そして,最期まで自宅で過ごしたいと願う人の思いに寄り添い,経口摂取が可能か不可能かにかかわらず食を支えていくことを「食楽支援」という言葉を通じて提唱する.食は,生きるための栄養補給としてだけでなく,本人にとって楽しみや喜びとしての食という役割もあり,さらには本人と家族をつなぐ「きずなとしての食」という存在でもある(参考文献12-2-8).
図1●在宅における“食楽支援”
図2●嚥下食のメニュー例(胃瘻からミキサー食として注入もできる)