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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-9:抗凝固薬と食品[foods influencing anticoagulant drug]

抗凝固薬と食品[foods influencing anticoagulant drug]
 血栓塞栓症や人工弁置換術後などにより抗凝固薬(ワルファリン)を服用している場合には,ビタミンKの摂取に注意する必要がある.血液凝固(出血を止めるための生体反応)には血小板や血液凝固因子が複雑に作用し,この血液凝固因子の合成にビタミンKが関与している.ビタミンKは血液凝固第Ⅱ因子であるプロトロンビンやⅦ,Ⅸ,Ⅹ因子の生成に関与する酵素(ビタミンK依存性カルボキシラーゼ)に含まれる(参考文献10-9-8).ワルファリンはビタミンKに拮抗し,このビタミンK依存性カルボキシラーゼの作用を阻害することで第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の活性を低下させ薬効が発現する.したがってワルファリン服用時に大量のビタミンKを摂取すると,ワルファリンの作用は減弱し血栓症などの重篤な結果を招くため,十分な注意を要する.
 ビタミンKを多く含む食品として緑黄色野菜,青汁,クロレラ,納豆などがあり制限する必要がある.特に納豆に含まれる納豆菌は,少量であっても腸内細菌を介してビタミンKを生成するため,含有量にかかわらず注意が必要となる.また食事以外でも,中心静脈栄養管理中に総合ビタミン配合型高カロリー輸液の使用や,輸液に総合ビタミン剤を追加投与する場合,また経腸栄養管理中にビタミンKを多く含む製剤(濃厚流動食)を使用する場合には,ビタミンK含有量とワルファリンの効能の評価を十分に行う必要がある(10-10:ワルファリン[warfarin](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch10-10/keyword3/)、10-10:直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)[direct oral anticoagulant](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch10-10/keyword4/)参照).

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