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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-7:糖尿病の合併症[complications]

糖尿病の合併症[complications]
 急性合併症には,糖尿病ケトアシドーシス,高浸透圧高血糖症候群,乳酸アシドーシス,低血糖,これらに伴う昏睡がある.感染症や消化器疾患などによる「シックデイ」はこれらを誘発するため,経口摂取が不十分な場合の対応や血糖値管理,受診の判断基準などの指導が重要である.低血糖は,認知症や大血管障害のリスクを高めるため,糖尿病患者で原因不明の昏睡で来院した場合は,低血糖を前提に治療する.
 慢性合併症には,糖尿病に特異的な細小血管障害(神経障害,網膜症,腎症)と,動脈硬化に伴う大血管障害(虚血性心疾患,脳血管障害,閉塞性動脈硬化症など)がある.合併症の予防と進展抑制には,血糖値に加えて血圧や脂質の管理が重要であり,特に糖尿病性腎症では留意する.糖尿病性腎症の病期分類を表2に示す.また,糖尿病患者は,免疫機能低下,血流障害,神経障害などから易感染状態となり,足病変,肺炎,腎盂腎炎,歯周病などに罹患しやすくなる.歯周病の罹患率は,高齢者・喫煙者・肥満者で高く,その重症度は,1型では罹病期間,2型では肥満度との相関が報告されている.2型糖尿病では,HbA1c 6.5%以上で歯周病の発症リスクが高まり,歯周病の炎症が血糖値コントロールに悪影響を及ぼすこと,歯周病の治療によって炎症の沈静化・TNF-α産生の減少などを介してインスリン抵抗性および血糖値コントロールが改善することが知られている.さらに,糖尿病はがんや認知症のリスク因子であり,フレイル・サルコペニアとの関連も明らかとなっている.
表2

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