第10章各疾患の栄養管理
10-16:がん治療による悪心・嘔吐[nausea/vomiting]
■ がん治療による悪心・嘔吐[nausea/vomiting]
悪心・嘔吐は食欲不振や脱水の要因となるだけではなく,がん治療の治療継続や完遂に大きく影響を与える要因となる.そのメカニズムは,化学受容器引金領域(chemoreceptor trigger zone:CTZ)の直接刺激や,迷走神経・交感神経求心路を経由して延髄外側網様体背側にある嘔吐中枢刺激,記憶や不快な感覚などの高位中枢神経系(大脳)を介する機序などが知られている.しかしながら,栄養介入による悪心・嘔吐などの消化管関連の有害事象を減少させるというエビデンスは乏しい.抗がん剤を使用する際には適切な制吐剤の使用を行うほか,それぞれの患者の症状の出現時期やパターンなどを把握してアセスメントを行い,訴えに合わせて匂いが少なくさっぱりした冷たい食材など,その時々の嗜好に合わせて食事メニューを調整することも重要である.
- 関連キーワード
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- [1] 炎症をコントロールする栄養[immune control nutrition]
- [2] 腸管内バクテリアルトランスロケーション,エンドトキシントランスロケーション[intestinal bacterial/ endotoxin translocation]
- [3] がん悪液質[cancer cachexia]
- [4] がんと炎症性サイトカイン[proinflammatory cytokine]
- [5] LPM, PIF[lipid mobilizing factor, proteolysis-inducing factor]
- [6] 食欲不振[cancer induced appetite loss]
- [7] がん患者の代謝[metabolic status of cancer patients]
- [8] がん悪液質の治療[therapeutic approach for cancer cachexia]
- [9] 発がんと脂肪酸[fatty acid and carcinogenesis]
- [10] 化学療法による副作用[side effects from chemotherapy]
- [11] 放射線療法による副作用[side effects from radiotherapy]
- [12] 術後の後遺症[after effects]
- [13] がん治療による悪心・嘔吐[nausea/vomiting]
- [14] がん治療による味覚変化・嗅覚変化[change of gustation and olfaction]
- [15] がん治療による口内炎[stomatitis]
【各章目次】
- 第1章:栄養障害と栄養療法
- 第2章:栄養素とその代謝
- 第3章:侵襲に対する生体反応
- 第4章:栄養と免疫,および生体防御機構
- 第5章:栄養状態の評価
- 第6章:栄養療法の実践
- 第7章:経口栄養療法
- 第8章:経腸栄養法
- 第9章:静脈栄養法
- 第10章:各疾患の栄養管理
- 第11章:高齢者の栄養管理
- 第12章:在宅栄養管理
- 付録
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