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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-16:化学療法による副作用[side effects from chemotherapy]

化学療法による副作用[side effects from chemotherapy]
 がん治療における栄養介入の意義は,がん患者のQOLと,予定したがん治療の安全性と完遂・継続性の担保の両立にあり,最終目的は予後の改善といえる.そのため,がん治療開始,もしくはがん治療施行中には栄養状態を評価して,低栄養状態もしくは十分な経口摂取ができない場合は積極的な栄養介入を行うことを推奨度:AⅢとして,ガイドラインには記載されている10-16-34).しかしながら,どのような栄養介入が最も優れているかに関しては,確立したエビデンスがないのが現状である.
 食道がんの術前化学療法における副作用に関して興味深い報告がある.Miyataらは,食事摂取が1,000 kcal未満の患者では静脈栄養投与群と比較して経腸栄養投与群では,Grade3/4の好中球減少が有意に減少することを報告している10-16-35).この報告は,栄養介入を必要とする患者の抽出のみではなく,その栄養介入の手段やその内容によっても副作用の軽減に影響を与える可能性を示唆している.今後のさらなるエビデンスの集積が期待される.

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