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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-13:必須脂肪酸欠乏症[essential fatty acid deficiency]

■必須脂肪酸欠乏症[essential fatty acid deficiency]
 クローン病では食事脂肪を制限することで寛解維持がはかられるので,脂肪が0.6%しか含有されていないエレンタール®を用いた栄養療法が行われている.そのため必須脂肪酸欠乏症が起こりうる.必須脂肪酸は生体膜の構成成分であり,膜の機能維持に重要である.コレステロール代謝にも関与し,必須脂肪酸が不足すると血液中のコレステロールが増加し,高脂血症,高コレステロール血症,動脈硬化症が引き起こされる.プロスタグランジン合成にも関与し,欠乏すると皮膚の弾力性低下,発赤のある湿疹,脱毛,魚鱗癬様変化,ミトコンドリアの膨潤,NADHの酸化能遅延,易感染性,毛細血管の脆弱化・爪の脆弱化,不感蒸泄増加と水分摂取量増加,発育遅延などが出現する.魚油に含まれるn-3系脂肪酸は炎症性のロイコトリエンを減少させ,抗炎症作用を発揮する.潰瘍性大腸炎およびクローン病の食事指導の際には,n-3系脂肪酸補給を考慮し,魚介類の献立を加えるように指導する.

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