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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-13:下痢による血清カリウム・マグネシウム低下[pottassium・magnesium]

■下痢による血清カリウム・マグネシウム低下[pottassium・magnesium]
 下痢症状が持続すると,血清マグネシウム値や血清カリウム値は低下する.

① 血清カリウム値
 溶血が起こると血清カリウム値は高値となる.2 mEq/L以下の低カリウム血症では,筋力低下や呼吸筋機能低下を生じ,横紋筋融解を起こす.

② 血清マグネシウム値
 血清マグネシウム値が低下した場合は,酸化マグネシウムの投与が必要である.しかし酸化マグネシウムは下痢をおこすので,下痢症状がさらに悪化しやすい.尿中マグネシウム排泄量が3 mEq/日(36 mg/日)以下の場合には,マグネシウム欠乏症を疑う.
カルシウムは主に細胞外に存在するがマグネシウムは細胞内に存在し,リン酸伝達反応とATPが関与する酵素反応系に重要な役割を担っている.経口的に摂取されたマグネシウムは小腸全般で吸収される.
ビタミンDや副甲状腺ホルモン(PTH)はマグネシウムの吸収率を高め,高脂肪食では低下する.マグネシウムは腎から排泄され,細胞外液量の増大,糸球体濾過値(GFR)上昇,利尿薬,ジギタリス,高カルシウム血症,成長ホルモン・甲状腺ホルモン・ミネラルコルチコイド・インスリン・カルシトニンにより排泄が促進される.細胞外液量の減少,GFR減少,PTH,ビタミンDは排泄抑制に働く.
低マグネシウム血症では頻脈,不整脈,振戦,テタニー,筋力低下がみられる.マグネシウム欠乏では低カルシウム血症,低リン血症,低カリウム血症などの電解質異常を合併することが多い.

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