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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-12:短腸症候群と微量栄養素[micronutrients]

短腸症候群と微量栄養素[micronutrients]
 水溶性ビタミンは主に近位小腸で吸収されるため欠乏に至ることは稀であるが,ビタミンB12は終末回腸で吸収されるため,終末回腸から60~100 cm以上の小腸が切除されている,あるいは障害されている場合,ビタミンB12の低下が起こる.ビタミンB12の補給には月1回1,000 mgの筋肉注射が行われる.
 また,胆汁酸も終末回腸で吸収されるが,胆汁酸塩は食物中の脂質や脂溶性ビタミンのミセル化に必要であり,終末回腸から100 cm以上の小腸が切除されている場合には有意な胆汁酸低下が起こる.
 SBS患者では脂質の吸収が低下しているため,脂溶性ビタミン(ビタミンA, D, K, E)の吸収低下による欠乏に注意してモニターを行い,必要に応じて補う必要がある.
 電解質では,マグネシウム,カルシウム,亜鉛の吸収が低下している.マグネシウムの場合,血清値が正常であってもマグネシウムが欠乏していることがあり,24時間尿中マグネシウムを測定することで検出できる.カルシウムは経口的に毎日800~1,200 mg/日補うことが推奨される.鉄は主に十二指腸で吸収されるため,出血などがなければルーチンに補う必要はない.リン酸塩の欠乏も滅多に起こらないので普通は補う必要はない.

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