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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-11:必須アミノ酸輸液とアルギニン[essential amino acid and arginine]

必須アミノ酸輸液とアルギニン[essential amino acid and arginine]
 アルギニンについて概説しておく.条件付き必須アミノ酸のひとつであり,外傷・褥瘡・感染などの侵襲下においては十分な補給が望ましいとされる.免疫反応の活性化,細胞増殖を促進し,コラーゲン生成促進などにより創傷や褥瘡の治癒を促すといわれる.食物では,肉類,ナッツ,大豆,玄米,レーズン,エビ,牛乳などに多く含まれる.
 先に触れたが,腎不全患者へのヒスチジン添加必須アミノ酸輸液投与がもたらす高アンモニア血症にアルギニンが有効であることが判明した.このような経緯により,現在日本で販売されている腎不全用アミノ酸輸液製剤にはすべてアルギニンが含有されている.
 最近,アルギニンの功の面ばかりが強調されている印象を受けるが,罪の面にも注意が必要と思われる.アルギニンはNO(一酸化窒素)基質であり,NOはマクロファージ(貪食細胞:体内に侵入した異物に対して貪食作用をもつ)の細胞中に存在し,免疫反応の活性化を促すとされている.
NOはラジカルとしての組織障害作用を有することから,少量で免疫増強に寄与しながらも,多量の場合や重症病態ではマイナス作用に転じてしまうと考えられる.したがって,過剰な炎症反応が惹起されている際,特にNOの絶対量が多くなっている炎症後期においては,生体にとって不利に働く可能性があることを付け加えておく.

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