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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-11:必須アミノ酸輸液と高アンモニア血症[essential amino acid and hyperammonemia]

必須アミノ酸輸液と高アンモニア血症[essential amino acid and hyperammonemia]
 腎不全患者用のアミノ酸輸液として開発された初期のヒスチジン添加必須アミノ酸輸液は,高アンモニア血症を伴う意識障害の原因となることが臨床の現場において確認された(参考文献10-11-3).それらはEAA投与の中止で改善されることがわかっていたが,さらにアルギニン投与によっても改善する(参考文献10-11-4)ことから,その機序が明らかにされるようになった(参考文献10-11-5).アルギニンを含有しないEAAの投与により,肝内のアルギニンの相対的欠乏が生じる.その結果,肝オルニチン濃度が低下し,尿素回路機能不全が生じるとともに,カルバモイルリン酸合成酵素減少を引き起こし,アンモニア蓄積を呈することになる.また,アルギニンおよびアルギナーゼに強力に拮抗するリジンの肝組織内濃度が著明に上昇していることも明らかにされている.さらに,オロト酸の産生増加からVLDLの合成阻害,輸送障害が生じて脂肪肝が発生する.要するに,肝細胞内の尿素回路の機能不全により尿素産生が低下し,アンモニアが蓄積するというわけである(図1).こうして初期の腎不全患者用アミノ酸輸液製剤は改良を余儀なくされることとなった. 図1

図1●腎不全用必須アミノ酸輸液による高アンモニア血症の発生機序
(文献10-11-6より引用)

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