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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-1:術後の早期経腸栄養

術後の早期経腸栄養
 以前は消化管吻合を伴う手術では術後早期の経口摂取,経腸栄養は推奨されていなかった.しかし,吻合技術の進歩,手術の低侵襲化が進み,近年では吻合部の口側からでも早期経腸栄養が積極的に行われるようになった.
 早期経腸栄養は,侵襲後(手術後)24~48時間以内に開始される栄養管理法であり,投与開始時には低流量(20 mL/h)で開始し,12~24時間ごとにスピードアップして数日以内に栄養必要量のすべてを経腸栄養で投与することをめざすものである.しかし,経腸栄養に伴う激しい下痢や腹部膨満,腹痛,嘔吐が生じる場合は,投与スピードを無理に上げず,静脈栄養併用により投与量不足に対応する.
 経腸栄養により,表1に示した感染防御能維持,炎症反応制御が期待できる(参考文献10-1-4).特に,経腸栄養による腸管リンパ装置の免疫細胞数とその機能の維持は,腸管や呼吸器における免疫グロブリンAの産生・分泌を高めるため,腸管のバリア機能維持とそれに伴うバクテリアルトランスロケーションの防止のみならず,呼吸器をはじめとする全身の粘膜免疫の維持につながり,患者を感染症や全身性の炎症反応から守ることになる.
表1

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