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キーワードでわかる臨床栄養

第1章栄養障害と栄養療法

1-3:栄養サポートチーム(NST)[nutrition support team]

栄養サポートチーム(NST)[nutrition support team]
 栄養サポートチーム(NST)は,栄養療法に関係する多職種が知識と技術をもち寄って,栄養サポートが必要な個々の患者のサポートをするチームである.感染対策チームや褥瘡対策チームなどと同じく,病院全体の医療の質の改善にも貢献している(参考文献1-3-2).
 栄養状態が傷病の予防や治癒に大きく関与すること,栄養不良も早期発見と早期治療により治癒が早まることで在院日数も短縮することなどが再認識され,まず平成18年度の診療報酬改定で「栄養管理実施加算」が新設された.これにより病院での栄養管理,特に入院時の栄養アセスメントを行うことが普及した.ほとんどの病院で栄養状態のスクリーニングが行えるようになったこともあり,平成24年度の改定でこの加算自体は廃止され,当然行うべきこととして入院基本料・特定入院料の要件に包括化された.
 NST活動を効率的に行うためには,NSTの対象となる患者を抽出する必要がある.入院時に入院診療計画書を作成するときに,栄養状態のスクリーニングを行い,栄養管理の必要性に応じて栄養管理計画書を作成する(図1).
 スクリーニングと栄養アセスメント栄養不良などの理由でNSTの対象患者と判断された場合は,主治医や担当看護師からNSTにサポートを依頼する.主治医の処方,病棟看護師のケア,管理栄養士の栄養指導など担当者だけでサポートが可能なケースもある.
 いずれも定期的な再評価は必須であり,その結果によって経過中にNSTに依頼することや,状態が改善することでNSTのサポートが終了するなどのパターンがある(図1).
  NST対象患者を抽出するのは入院時のみとは限らない.入院時は栄養状態に問題がなくても,絶食期間が長くなってきた,手術侵襲で栄養状態が低下した,輸液内容を相談したい,中心静脈栄養経腸栄養を開始したい,経腸栄養下痢などの副作用がある,脳血管障害後遺症の嚥下訓練や食事形態を相談したい,栄養指標や体力が改善しないなど,入院経過中にNSTにサポートを依頼するケースが出てくるので,主治医のみならず担当看護師,各病棟のNSTリンクナースほか,多職種からの対象の抽出が効果的である(図2).
図1 入院患者の栄養管理の流れ
図1 入院患者の栄養管理の流れ
図2 NST対象患者の抽出の例
図2 NST対象患者の抽出の例

表1 NST各種の主な役割
 チーム医療の意義は各職種の専門知識と技術を結集できることである.おのおのが得意分野を活かすことで,質の高い医療を提供できる(表1).医師は栄養不良の原因となる病態を診断して,栄養療法の治療方針を立てる.主治医へのアドバイスも医師からした方が円滑である.専従を置く場合は管理栄養士のことが多く,特に経口摂取の栄養指導は中心となる職種である.看護師は最も数が多く各病棟のリンクナースがカンファレンスやラウンドの際に患者情報をプレゼンテーションする.薬剤師の輸液の処方設計,臨床検査技師の検査データのチェック,言語聴覚士の摂食嚥下訓練,歯科医師と歯科衛生士の咀嚼口腔ケア,栄養サポート下の廃用を防ぐリハビリテーションと多くの職種が活躍する(参考文献1-3-2).
 チーム医療の意義は各職種の専門知識と技術を結集できることである.おのおのが得意分野を活かすことで,質の高い医療を提供できる(表1).医師は栄養不良の原因となる病態を診断して,栄養療法の治療方針を立てる.主治医へのアドバイスも医師からした方が円滑である.専従を置く場合は管理栄養士のことが多く,特に経口摂取の栄養指導は中心となる職種である.看護師は最も数が多く各病棟のリンクナースがカンファレンスやラウンドの際に患者情報をプレゼンテーションする.薬剤師の輸液の処方設計,臨床検査技師の検査データのチェック,言語聴覚士の摂食嚥下訓練,歯科医師と歯科衛生士の咀嚼口腔ケア,栄養サポート下の廃用を防ぐリハビリテーションと多くの職種が活躍する(参考文献1-3-2).

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