第1章栄養障害と栄養療法
1-1:栄養不良[malnutrition]
■栄養不良[malnutrition]
発展途上国の小児の食事がイモ類などの炭水化物に偏り,タンパク質が不足して低アルブミン血症になり,腹水貯留や浮腫をきたす栄養障害をクワシオルコル,炭水化物さえも摂れない飢餓状態の栄養失調をマラスムスと分類しているが,食糧事情がよい現代の日本ではこの分類はあまり意味がないであろう.
栄養不良(低栄養の栄養障害)に定義や明確な診断基準はないが,栄養評価(栄養アセスメント)によって診断されている(参考文献1-1-1).栄養評価には各種の栄養指標が用いられるが,栄養不良の原因の多くは相対的な栄養摂取不足であり,結果的に体重減少として現れることが多いので,一般に特に初診時には体重減少(変化)で栄養不良による栄養障害と判断されることが多い(表1).
