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キーワードでわかる臨床栄養

第4章栄養と免疫,および生体防御機構

4-1:貪食細胞[phagocytic cell]

貪食細胞[phagocytic cell]
 貪食作用をもつ遊走細胞の総称で,好中球,好酸球,マクロファージ,樹状細胞などがある.細菌,真菌,ウイルスのほかに,死んだ細胞や固形物を貪食作用により処理し,生体の防衛や清掃を行う.貪食細胞は細菌などの異物を食胞に閉じ込め,食胞をライソゾームと融合させ活性酸素やタンパク分解酵素によって分解することで殺菌を行う.このように異物を排除する過程において,まず貪食細胞は,病原体に共通して存在するさまざまな分子構造(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)を認識する.例えば,グラム陰性菌のリポ多糖,グラム陽性菌に存在するリポタイコ酸,細菌細胞壁の骨格構造であるペプチドグリカン,抗酸菌が保持する糖脂質などが代表的なPAMPsである.この認識はパターン認識受容体(pattern-recognition receptors:PRRs)によって行われる.PRRsには,細胞膜上とエンドソーム内部に発現するTLR,細胞膜上に発現するC型レクチン受容体,細胞質内に発現するNOD(nucleotide binding oligomerization domain)様受容体,RIG(retinoic acid-inducible gene)様受容体などいくつかの種類が認められる.そのなかでも,TLRは細菌やウイルスなどを異物として識別するもので,ヒトではTLR1からTLR10までの10種類が知られている.それぞれが違った分子種の異物性を認知して選択的に排除する免疫の働きをもっている.TLRは細胞膜とエンドソームに局在する2グループに分かれる(表1).
 PRRsがPAMPsの認識によって病原体由来の異物をパターン認識すると,貪食細胞を中心とする自然免疫が起動する.同時に,貪食細胞は病原体を細胞内に取り込んで部分分解してつくる抗原ペプチドをMHC抗原とともに細胞表面に提示する.
表1

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