栄養不良は栄養素の必要量と摂取量の不均衡から生じるもので栄養不足と栄養過多がある。栄養摂取過多に伴う
肥満などの弊害は生活習慣病という形で取り上げられており、糖尿病・耐糖能障害、
脂質代謝異常、高血圧などの健康障害を引き起こす。栄養不良といったときには栄養不足のみでなく、栄養過多についても考慮する必要がある。この章では栄養不足を中心とした栄養不良について述べる。
栄養不足は(1)protein malnutrition:kwashiorkor(
クワシオルコル)、(2)protein energy malnutrition(PEM):marasmus(
マラスムス)、(3)両者の特徴をあわせもつ混合型(
マラスムス型
クワシオルコル)に分類される。栄養不良というと発展途上国や戦争・災害影響下の国を思い浮かべるが、病院の入院・外来患者に栄養不足の患者が予想以上に多いことが最近注目されている。スペインからの報告によると入院患者の12.5%のみが正常な栄養状態で、55%は軽度の、28.3%は中程度の、そして0.8%が重症の栄養障害状態にあったとされている(
参考文献1-1-1)。栄養管理を行うことで
創傷治癒の促進、合併症発生率の低下、死亡率、罹病率の低下、入院期間の短縮、
医療費の節減などの効果が挙げられており、
栄養サポートチームの活躍が期待されている。また、小児では乳児期に発生すると身体発育障害のみでなく、神経学的発達をも遅延させる(
栄養不足と脳の発育)ことが知られている。
栄養不足の診断は病歴、食事歴、
身体計測、血液
生化学検査などで行われる。病歴、食事歴では食欲不振の有無、絶食があればその期間、食事の内容、消化器症状の有無、薬物の使用歴等を聴取する。
身体計測では身長、体重測定を行い、
Key Word[1]で述べる体重年齢比、体重身長比、
BMIを計算する。さらに上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)、上腕筋周囲長(AMC)、上腕筋面積(AMA)を測定するが詳細は
1-5:栄養スクリーニング、
1-6:栄養アセスメントで触れる。血液
生化学検査には血清総タンパク質、
アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ、尿中クレアチニン、末梢血中総リンパ球数、rapid turnover protein(RTP)などが含まれる。
【執筆】高松英夫氏